低価格戦略に適した条件まとめ

「よりよいものをより安く。」

それは、商売の王道のスローガンなのだが、低価格戦略は、近年、批判の的になることが多い。

しかし、低価格が悪いというのはあくまで逆説。
十分な利益を得た上での低価格は、事業者-消費者双方に利益をもたらす商売のあるべき姿である。

そして、現実にシェアをとっている企業を見渡してみても、やはり業界最安値に近い価格設定の事業者が最大シェアであることが多い。

それは、自社が持続可能な利益を得ることもなく、他社の利益を削るだけの低価格とは意味が全く異なる。

むしろ、よりありふれている価格の問題は、「低価格が悪い」というお題目の呪縛によって、価格の柔軟性を失い、収益機会を逸しているケースである。
価格を頑張って維持したまま、つぶれていく企業も後を絶たない。

闇雲に低価格がいい悪いと論評するのはナンセンス。

低価格が、有効な戦略の1オプションであることは、揺るがない。

そして、どのような条件が整った場合に、低価格戦略の合理性が高まるのかを知る必要があるだろう。

低価格戦略に適した条件まとめ

低価格戦略が有効である条件は以下4つ

1.固定費が大きく1購買あたりの追加原価が低い。(費用逓減産業)

もっとも典型的な業種はスキー場。
リフト券自体が0円だとしても派生収入の方が大きい。
という極めて価格の柔軟性が有効な業態である。

ホテルもそれに近い。
客室は、その日しか販売できない。
1客あたりの追加原価は小さい。

柔軟な価格設定で客室を稼働させることは、一般に合理的だと言って良い。、

2.生産能力と販売量のギャップが大きい。(生産キャパシティ)

既存価格で、生産能力と販売量に大きな開きがあるのであれば、
新規市場に対し価格を下げ、需要を高めることは経済学的に考えても合理的だ。

但し、重要なことはいかに既存市場に悪影響を与えないかということだ。
そのためには、情報や条件をうまく分離し、既存市場の納得度を高める必要がある。

3.仕入れ量に応じた仕入れ単価が変動的。(バイイングパワー)

取引量に応じて取引条件が有利になる性質の商品や取引先であれば
大胆に価格を下げて量を重視するのはひとつの有効な選択となる。

4.顧客の価格弾力性が大きい。

対象顧客(ターゲット)の価格弾力性が大きい場合、低価格戦略は功を奏す可能性が高い。

対象顧客(ターゲット)の価格弾力性が大きい条件として以下を挙げる。

1)所得が少ない。時間<お金
2)時間がたっぷりある。時間<お金
3)価格の調査能力が高い。
4)元々の性格が吝嗇である。

5.商品の価格弾力性が大きい。(安くするとたくさん売れる)

上記は、ある意味一般論として理解できる話だが、価格弾力性については少し科学的な思考が必要である、深く理解しておくことは重要だ。

価格弾力性・・価格によって需要(購買率)が変動する割合

以下に価格弾力性が大きい商品の性質を整理する。

価格弾力性が大きい商品の条件

1)必需性が小さい。※市場規模伸縮幅が大きい。
買う必要性が低いものほど、価格による購買行動の影響は大きい。

2)購買頻度が多い。
購買頻度が高いと総支出に占めるインパクトが大きいため、価格に対する知識と関心が強まる。
そのため、少しの価格差が大きな需要差を生む。

3)価格が大きい。
情報収集・意思決定に十分な時間をかけるため、同一品質であれば、より安価な商品を探し当てる可能性が高まる。

4)購買頻度が少なく、商品知識に乏しい。
商品知識に乏しいため、価格以外の差がわからない。

5)業界(市場)内に支配的ブランドが存在しない。
ブランドは、ファーストインプレッションを支配し、客観的判断を鈍らせる要素だが、
その要素がない場合は、価格が、ファーストインプレッションを担うケースが多い。

6)同じ目的を満たす代替品がある。(代替性)
代替品の存在は、価格下げ圧力となり、適正価格を低下させる。

7)市場(業界内)に選択肢が多く、商品差が少ない。(競合性)

まとめ

ⅰ.5-2)・3) 4-1)
を総合すると
所得に占める支出の割合が大きい商品は、価格への関心が強まるため、価格弾力性が大きい。

ⅱ.4-2)と4-4)は、一見、矛盾しているが
下記のように書き換えると昇華できる。

価格以外の商品差がないもしくは見えない場合には、価格が購買の最重要素になる。

2)は、価格以外の商品差がないことをちゃんと知っているということ。
例えば、同一商品の販路による価格差というのが、典型。

4)は、仮に商品差があったとしても、それが見えていないということ。

4-5)に照らすならば、ブランドという商品差があると、価格の重要度はやや低下する。

冒頭で示したように、柔軟な価格ポリシーを失ったために、収益を失っている例は枚挙に暇がない。
ただ、やはり低価格戦略は、戦略としてはセカンドベストに過ぎないということもまた再確認する必要がある。

戦略のベストは、やはり比較できない差別化ポジションを手に入れることだ。

いずれにせよすべてを満たす業界はなく、価格戦略には、総合的な判断が求められる。

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