大企業は、多くの商品を抱えているが、利益に貢献している商品は極々一部の商品であることが多い

大企業は、多くの商品を抱えているが、利益に貢献している商品は極々一部の商品であることが多い。パレートの法則でいえば、20%の商品が利益の80%を稼ぎ出すのである。
極端な例を上げると、アサヒビールの利益の95%は「スーパードライ」が稼ぐ。

では、アサヒビールは全資源をスーパードライに集中させ、株式会社スーパードライになればいいではないか、と素朴な疑問を覚えないだろうか。

その指摘は一理ある。少なくとも短期的には利益最大化の方法論となる可能性が十分にある。

それでは、なぜ多くの企業は究極の戦略をとらず、企業を救う可能性の低すぎる既存市場への新規参入を行うのかについて、その理由を分析したいと思う。

ひとつの代表的な理由は、環境の変化を見据えたリスクヘッジである。これは、非常に説得力のある理由であり、長期戦略的には重要な要素だが、留意すべきことがある。

  • 利益を出せる。
  • (既存事業に対して)十分な規模を生む可能性がある。
  • 既存事業とリスクが類似していない。
  • 保有資産を共有できる。

これらを満たしてはじめて、リスクヘッジとして看板商品に投じる資源を他に振り向ける妥当性が生じるということだ。事実上、この条件に適った新規参入は極々一部だといえる。

もうひとつの理由は、守備戦略的な理由である。

新たな市場で、競合他社が圧倒的なシェアを獲得し、圧倒的な利益を得ることで、より大規模に自社の得意な市場に攻め込んでくる可能性が高まる。それを阻止するために、競合他社のシェアと利益を削るために新規参入を行うのである。

ビール業界でいえば、発泡酒市場に対して冷ややかであったアサヒが後発で参入した例などがあたる。

参入をしていなかったとするならば、発泡酒市場はキリンの独壇場になり、その莫大な余剰をもって「一番搾り」への大規模な戦略投資が行われ「スーパードライ」のシェアを奪っていった可能性も否定できない。

また、非戦略的な理由としては虚栄心由来の「売上至上主義」と「人事圧力シンドローム」がある。

統計的には、売上規模は、事業の存続と強い正の相関がある。ただし、それは事業内での規模であって、資産を共有できない、うだつの上がらない他事業への資源分散はむしろ命を縮める。経営者は、どうしても自分の足跡を残すために、自慢するために事業の拡張を図りたがる。

組織人は出世を大きなモチベーションとしている。そのため、組織の士気を維持していくためには、どうしても事業拡大・維持によるポストの維持・増設が求められる。既存事業を大きくするよりも、事業を増やす圧力が存在するのだ。特に、クリエイティブ人材は、自分の仕事を確保するために新規事業を切実に求める。

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