なぜ「おかしのまちおか」は200 店舗近くの店舗拡大が可能だったのか?

「おかしのまちおか」という業態

私が、長期間気になっているビジネスがある。
それは、「おかしのまちおか」だ。

「おかしのまちおか」は、関東を中心に180店舗を展開するおかしのディスカウントショップ。

なぜ、気になっているのか。
それは、あまりにも模倣容易で独自性のないビジネスだからだ。

取り扱う商品は、ほぼナショナルブランドのお菓子。
オリジナル商品があるわけでもなく、製造メーカーなわけでもない。
珍しい商品を仕入れているわけでもない。

駄菓子屋のようなノルタルジックな演出があるわけでもない。
陳列やPOPにこれと言った特徴があるわけでもない。

※また、有名店で「二木の菓子」があるが、十店舗余しかない上に、品揃えとしてはやはり駄菓子屋への卸を意識したラインナップになっている。

「おかしのまちおか」は、スーパーの菓子売り場をただ切り取ってきたような店だ。

もちろん菓子の仲卸業からのスピンアウトだという強みはある。
ただ、それは、スーパーに対しての強みにはならない。
仕入れ価格に優位性はないだろうし、価格設定の上では派生収益を広く確保できるスーパーの方が安くできる構造にある。

経営者のインタビューにおいては
「各店舗の店長に店作りを任せ、それぞれの店舗が客層などに応じて個性的な店作りをしてきたことです。2つとして同じ店がないと言っていいほど、店舗ごとに店構えが違っています。」
と答えているが。
引用:日経BP 2010年3月26日(金)「おかしのまちおか」の急成長を支える分権経営

私は十程度の店舗を見たことがあるが、まったくと言っていいほど、店舗の独自性など感じたことがない。
インタビューのためのとってつけた答えだとしか思えない。

では、「おかしのまちおか」が、なぜ拡大できたのか?

それを考えることはビジネスセンスを磨く上で非常に有意である。

「おかしのまちおか」が拡大できた理由(仮説)

まちおか2

上記の通り、私は「おかしのまちおか」が成長していることに首を傾げている。
同時に、経営者本人もそれに明確な答えを見つけられていないように見える。

だから、ここに誰もが納得するようなすっきりした答えが用意できるわけではない。

ただ、私なりに消費者視点から考えた理由を以下に挙げてみる。

1.専門店だから

別に、品揃えが豊富でなくても、価格に優位性がなくてもいい。
「お菓子屋さんがあるならお菓子はお菓子屋さんから買いたい。」というニーズは存在するかもしれない。

それが、スーパーが存在している今でも、肉屋や魚屋や八百屋が町に存在している理由でもある。
ただ、もちろん専門知識が不要で、ナショナルブランドしか販売していないお菓子屋はそれよりもその誘因が弱いことは間違いない。

2.コンビニより安く品揃えが豊富だから

スーパーとの比較で、優位性のなさを述べたが、コンビニとの比較で言えばわかりやすい優位性がある。

コンビニよりも、お菓子の品揃えが豊富で安いのだから
コンビニで菓子を買う人が相当数いる以上、一定の購買層がいることは自然なことだと言えるだろう。

3.スーパーよりも買いやすいから

スーパーは、確かに安くて品揃えが豊富なのだが、ユーザーが主婦層に偏る。
子供だけでは利用しないし、男性もあまり使わない。

入店から購入までにも一定の距離があり、時間を要するのでお手軽感にかける。

それが、価格が高く品揃えが少ないスーパー付近のコンビニが成立している理由でもある。

お菓子の品揃えが豊富だとしてもお菓子だけを買うためだけに入るのは、心理的にも時間的にもやや抵抗がある。

だから、一定の割合で選ばれる。

以上の理由を挙げてみたが、店舗展開が可能である理由には十分とは言えない。

ただ、数店舗ではなく、180店舗の展開ができていることは、この業態が成立することを証明している。

むしろ考えるべきは、これほど模倣が容易でビジネスが成立しているにも関わらず、「おかしのまちおか」の類似店舗が目立ってみられないことだ。

どんな参入障壁が存在しているのかということに焦点をあてる必要がありそうだ。

お菓子のディスカウントショップにはどんな参入障壁が存在しているのか。

「おかしのまちおか」という模倣容易な業態が、20年近くにもわたり、その地位を脅かす競合に出会わなかった理由はなんだろうか?

これもまた、明確な理由は見当たらない。

ただ、ひとつ理由を挙げるとするならば、リソース(社内資源)・動機の両面から菓子の仲卸業者以外が、菓子のディスカウントショップを立ち上げることは難しいのではないかということだ。
小規模店舗で相応の取引条件を引き出すことはできないし、メーカーや大卸と取引をもつことすらできない。
最低限、取引条件という資産をもっていることがディスカウントショップの展開を考える前提と考えていいのではないだろうか。

他の菓子卸業者がなぜ大々的な店舗展開をしないのか。 というところまでテーマを絞り切れるならば、もしかすると「たまたまやる人がいなかった。」という回答が一定の説得力をもつのかもしれない。

それ以外で言うと、スーパーやコンビニ等十分な取引量のある企業がスピンアウト業態として立ち上げることだが、様々なオプションをもつ彼らにとって参入価値がある市場には見えないだろう。

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