第1回 アイスクリーム市場研究

活況なアイスクリーム市場

アイスクリーム市場が活況です。
10年前に比べると市場規模は25%も増加。2013年度の販売額も19年ぶりに過去最高を更新し、4300億円を超えました。

その原因として
平均気温の上昇による需要の拡大
「濃厚アイスの定着」による冬市場の拡大や大人市場の拡大
などがあげられています。

コンビニのアイスストッカーも近年、大きくなった気がします。(気のせいでしょうか。)

市場規模推移

アイスクリーム市場の特徴

低価格市場

小売アイスクリーム市場は、他の多くの食品や雑貨と同様、低価格市場の特徴をもちます。
低価格市場は、「固定費の分散化」すなわち「スケールメリット」が命です。 

大企業による寡占が進む傾向が強く、中小企業の新規参入は極めて難しいです。
特に、販路としてのコンビニ・スーパーの台頭は、その性質を強化しています。

また、低価格市場は、ブランド力が、非常に重視される市場です。

低価格市場では

購買の意思決定に多くのコスト(時間)をかけようとしないので、ブランド力が購買に与える影響が大きい。

そして、現実的に、大きなブランド力を手に入れる方法は
1.TVCM
2.ロングセラー
のいずれかしかありません。(と言っていいでしょう)。

そういう意味でも、大企業以外の新規参入は難しい市場なのです。

冷凍市場

そして、もうひとつアイスクリームならではの流通上の特徴があります。
それは、冷凍在庫・冷凍輸送・冷凍陳列が求められるということです。

これが、何を意味するか。
他の商品よりも流通コストがかかるということは言えるのですが、

より大きなポイントは

売り場の伸張性が低い。

ということです。

常温陳列が可能な他の商品は、一時的な売り場拡充がある程度可能なのですが、冷凍陳列が必須のアイスクリームは、新商品が出たからといって販売スペースを拡充できないのです。
新商品を販売するためには、トライアルだとしても、他の商品を売り場からはずす必要があります。
ですから、他の市場と比べて、新商品の売り場確保が難しいということが言えるでしょう。

順位が入れ替わりにくい「シェアの硬直性が強い市場」だということが言えるかもしれません。

事実、現在知られているブランドのほとんどが30年以上前に生まれたブランドであり、21世紀に生まれたブランドはそう多くはありません。

アイスクリーム市場の主要プレイヤー

 

消費者アイスクリーム市場のビッグプレイヤーは、7社います。
※売上高は推定です。
ロッテ   740億
主要ブランド:「雪見だいふく」「爽」「モナ王」「クーリッシュ」「レディーボーデン」

グリコ   738億  
主要ブランド:「ジャイアントコーン」「パピコ」「アイスの実」「パナップ」 

森永乳業  510億
主要ブランド:「PINO(ピノ」、「PARM(パルム)」「MOW(モウ)」

森永製菓  292億  
主要ブランド:「チョコモナカジャンボ」、「アイスボックス」

明治          
主要ブランド: 「明治エッセルスーパーカップ」「ゴールドライン」NEW!、「プレミアムグラン」NEW!

赤城乳業    405億
主要ブランド: 「ガリガリ君」

ハーゲンダッツ 450億
主要ブランド: ハーゲンダッツ

そして、もう1社 光り輝くニッチプレイヤーを加えておくべきでしょう。
それは、1973年のあずきバー発売以来、単品で2億本のセールスを誇る「井村屋」です。

ロッテは、業界首位と言われていますが、意外に感じる方も多いのではないでしょうか。
ロッテには、それほどアイスクリームのイメージはないと思います。
それもそのはず、ロッテのアイスクリーム部門は、2002年の雪印乳業のアイスクリーム事業継承で急拡大したのです。

近年は、プライベートブランドの台頭という脅威がありますが、今後もビッグプレイヤーの変動はそう容易には訪れないでしょう。
ちなみに、ハーゲンダッツは、サントリーの子会社。
食品メーカーが、M&Aによって参入してくることは考えられるかもしれません。

コンビニのアイスストッカーは、5ブランド+αが占有

近年、アイスクリームの購入場所としてコンビニが選ばれる比率は増え続けています。
購入場所

スーパーに対するコンビニの特徴は、売り場が狭いこと。 
陳列スペースが限られるため、販売できるブランド数が厳選され、本当の上位ブランドだけが優先的に置かれることになります。

一見、ランダムに選ばれているように見えるコンビニのアイス売り場は、
実は、5ブランド+αで成り立っています。

その5ブランドとは
明治エッセルスーパーカップ(明治)②PINO(森永乳業)③PARM(森永乳業) 
チョコモナカジャンボ(森永製菓)⑤ガリガリ君(赤城乳業)
アイス売り場A

①明治エッセルスーパーカップ(明治)
明治エッセルスーパーカップ  

②PINO(森永乳業)
PINO

③PARM(森永乳業) 
PARM

③チョコモナカジャンボ(森永製菓) 
チョコモナカジャンボ

⑤ガリガリ君(赤城乳業)
**08.Choco_ALL.B

この5ブランドが、90%前後の確率で販売されており、2位グループは、40〜60%の確率で販売されているようです。

ちなみに、2位グループに入るのは
雪見だいふく(ロッテ)、ジャイアントコーン(グリコ)、爽(ロッテ)、クーリッシュ(ロッテ)、アイスの実(グリコ)等です。

この1位・2位グループの発売開始時期を見てみると以下のようになります。(太字は、1位グループ)

1966年 ジャイアントコーン(グリコ)
1972年 チョコモナカジャンボ(前身商品のチョコモナカ 森永製菓)
1976年 ピノ(森永乳業)
1981年 ガリガリ君(赤城乳業)
1981年 雪見だいふく(ロッテ)
1986年 アイスの実(グリコ)
1994年 明治エッセルスーパーカップ(明治)
1999年 爽(ロッテ)
2003年 クーリッシュ(ロッテ)
2005年 PARM(森永乳業)

1番最近発売されたPARMも10年以上前。 21世紀発売の商品は2ブランドしかありません。
いかに入れ替わりの少ない硬直的なロングセラー市場かということがわかります。

また、興味深いのは、TOPブランドの中の類似商品の少なさです。  
各ジャンル1商品しかスペースを確保できない市場(小選挙区市場)ということが言えるのかもしれません。
強いて言うと、「明治エッセルスーパーカップ」と「爽」は、同じカップアイスとして似ていると言えなくもないですが、「爽」は氷菓を混ぜたシャリシャリ感を出せており明確に違いがわかります。

コーン・モナカ・スティック・アイスキャンディー・カップアイスの各トップシェアブランド(ジャイアントコーン、チョコモナカジャンボ、PARM、ガリガリ君、明治エッセルスーパーカップ)と
模倣に気が引けるような独自性の強い商品(ピノ、雪見だいふく、アイスの実、クーリッシュ)が一定の地位を占めていると言えそうです。

さて、長期間にわたり、大きな動きの少ないアイスクリーム市場ですが、今後、地位が大きく変動する事件が起こるのでしょうか。
チョコレート業界で言う「ブラックサンダー」のようなニッチなニューカマーが求められます。

現在注目の商品は、スティックアイス一人勝ちのPARM(パルム)に対して明治が仕掛けている「明治ゴールドライン」(中身はもちろんパッケージデザインまでそっくり)
このそっくりな後発商品が、PARM(パルム)の牙城をどのように崩すのか。あるいは、撤退を強いられるのか。 興味深いところです。
コンビニアイスは小選挙区市場のため、一気にシェアが動く可能性も秘めています。
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(続く)

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