第1回 缶コーヒー市場研究 UCCが動き出した。

缶コーヒー市場概況

缶コーヒー市場は、清涼飲料水市場で25%のシェアをもつ巨大市場。
GEORGIA(日本コカコーラ)とBOSS(サントリー)の二強体制が続く。
コンビニコーヒーの台頭という危機を迎え、今後の趨勢が気になるところ

二強の動き

GEORGIAとBOSSの二強が30%前後でシェアを分け合う状況が続く。
かつては、50%近いシェアをもっていたGEORGIAが、後発のBOSSに猛追されたという流れ。

戦略の違いとしては
あくまでコカコーラをマーケティングの主軸に置くコカコーラ社と

飲料総合メーカーでありながら、BOSSに戦略の主軸をおいたサントリー という構図が見える。
サントリーの清涼飲料水部門において戦略的なTOPブランドに位置するのが、BOSSである。
※見方を変えれば、サントリーには代表的な清涼飲料水ブランドがなかったという見方もできる。

ジョージア BOSS

以前も書いたが、わかりやすい例が自動販売機のデザインである。

コカコーラ社の赤いコカコーラのロゴ入り自動販売機に対して、
サントリーは、青いBOSSエンブレムデザインの自動販売機に統一している。
BOSS自販機

両社とも自動販売機の数は50万を超え、看板効果としてブランディングの主軸のひとつと言っても過言ではない。
50万個の看板数の違いは、長期的にブランド力に影響を及ぼす。

今でこそ違和感がないが、多くの先輩ブランドを差し置いて、当初駆け出しのブランドであったBOSSに自販機デザインを統一した意思決定は偉大なものである。

また、TVCMに対しても思い入れの違いが見える。

コカコーラ社のコカコーラの数十年にわたる継続的なさわやかイメージのコミュニケーション(近年、徐々に奇をてらう企画ものに変わってきたが)と比較して、ジョージアのCMの(一定の話題を作ってきたものの)一貫性のなさは目に余る。 それぞれのシリーズに、日本有数のクリエイターが登用されているのはわかるが、クライアントであるコカコーラ側のコンセプトが緩いのではないかと思わせる。

一方、BOSSは、トミーリージョーンズの宇宙人シリーズを10年続けている。
宇宙人という客体視点によりありふれた日常に皮肉を加えながら、その中にある小さな素晴らしさにも希望を馳せることができる働く男達に小さな共感を生む構成で一貫している。
まさに、「このろくでもない、すばらしき世界」を表現し続けている。

これらから近い将来「BOSS」がTOPブランドとしての地位を磐石なものにするのではないかと推測している。

2強以下の戦略的動向

2強以下のプレイヤーとしては以下5プレイヤーを挙げる。

ワンダ(アサヒ飲料)
ファイア(キリンビバレッジ)
UCC
ダイドー
ポッカ

ワンダ(アサヒ飲料)

ワンダは、「モーニングショット」という朝市場への特化で一点突破を図り、成功を収めた。
2011年3月から2016年2月までAKBをメインキャラクターに据えたことも男臭く重々しい缶コーヒーの世界で異彩を放ったと言えるかもしれない。(2016年3月からは北野たけしの登用で再び男臭さに戻っている。)
WONDA

戦略的に注目すべきは、
1.「朝用」というやや無理のあるセグメントへの「ネーミングの特化」が差別化になったということ。
2.「モーニングショット」というサブブランドへの集中投下が成功を収めたということ。

セグメントネーミング広告の集中投資という本質とは乖離したマーケティング戦略の成功事例として貴重なものだと言えるだろう。

ファイア(キリンビバレッジ)

ファイアは、直火焙煎という製法を差別化要素として市場への浸透を図り続けている。
それに伴い、専門家による味に対しての高い評価も受けている。
FIRE

ただ、それほど高い品質とそれに基づいたコミュニケーションを図っているにも関わらず、ブランドイメージが弱く、シェアをTOPブランドから奪うには至っていなかった。

その理由を一概には言えないが、特化をせず、総合的な缶コーヒーブランドとしてブランディングを行っていたことが2強に対しての存在意義を弱めていたのではないかと思う。

ただし、店頭での差別化に成功する。
苦肉の策か、缶デザインの差別化を試みる。

氷結で培った「ダイヤカット」をファイアに導入。
立体的な装飾で、缶の見た目の差別化を図った。

店頭で目立つことに成功するとともに、「挽き立て微糖」に黄金を配し、ファイアのメインブランドを「挽き立て微糖」にした感を強めた。

「微糖」をメインブランドに据えたこと自体が、缶コーヒー業界での差別化として評価されるべきだろう。

今後の推移が気になる。

UCC

最近、急に動き出したのが、UCCだ。
近年の缶コーヒー業界の中でもっとも注目すべき動きと言っていい。

UCCは、2000年代以降、ほとんどTVCMを行っていなかった。
缶コーヒー市場としては、ほとんどノーブランド商品として勝負していたと言って良い。

そんなUCCが、缶コーヒー市場の危機が叫ばれる2016年の最中、なんと撤退ではなく、TVCMを行うという拡大戦略に舵を切る。

UCCは、缶コーヒー市場で迷走を続け、新商品を短期間で葬り去る迷走を続けてきたが、「BLACK無糖」は、決して高いシェアを得ていたわけではないが、長期間店頭で居場所を保ってきた。
UCC BLACK

そんな折り、「BLACK無糖」のCMキャラクターとして桑田圭祐を起用し、TVCMを投下する。
ブルースの帝王「桑田圭祐」によって「せつなくかっこいい男の世界」の表現を試みる。

「BLACKと言えば、UCC」のブランド確立を急ぐ。

今後の動向に注目である。

ダイドー

DYDO
 ダイドーは極めて特徴的なビジネスモデルを進めてきた。
それは、自販機販売への特化だ。
一般的な飲料メーカーの自販機比率が約30%なのに対し、ダイドーのそれは86%(2013年度)にも上る。
自販機市場を主戦場としながら、1970年台からコーヒーに特化したTVCMも継続し続けてきた。

変わらぬオレンジ×緑×こげ茶のエンブレムも昭和の定番という安心感を与えるものになっている。
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そんなダイドーにも近年変化が見られる。

そのひとつが自販機依存の脱却。 もうひとつが、缶コーヒー依存の脱却である。

缶コーヒーの商品戦略では、これといった差別化は見いだせていないように見えるが
身軽でキャッシュリッチな経営資源を生かし、M&Aによる多角化や海外進出を積極的に進めているようだ。

TVCMも、ここ3年ほどは、コーヒーよりもmiu(フレーバーウォーター)に注力している。

もしかすると、自販機事業を大手に売却するなど、数年後には、まったく違った会社になっている可能性すら感じさせる。

ポッカ&サッポロ

ポッカ&サッポロは、ポッカコーヒーとアロマックスの2ブランド展開を行っている。
POKKA

アロマックス

ポッカコーヒーは、日本で初めて、コーヒー規格(乳性飲料ではない)の缶コーヒーを発売した会社。

あの顔のエンブレムは、缶コーヒー市場の世界観をつくりあげた商品と言えるかもしれない。
特に、同様、顔エンブレムのBOSSは、その世界観を継承した商品というようにも見える。

ただし、重要なロングセラーブランドであるが、残念ながら商品・販路・マーケティングいずれも有効な差別化ができていないというのが現状だと思う。

アロマックスは、香りというものに特化した戦略商品。
ただ、まだ、十分なプレゼンスを獲得できていないというのが実のところだと感じられる。

まとめ

コーヒー市場をまとめると
フルラインナップの2強(ジョージア&BOSS)の熾烈な戦い。

2番手以降は、

WONDA(アサヒ)は、朝のコーヒーという時間帯(シチュエーション)の差別化。

ブランディングの狙い  

朝飲む缶コーヒーは、「モーニングショット」

FIRE(KIRIN)は、パッケージの差別化とともに、「微糖」をメインブランドにするという差別化を図る。

ブランディングの狙い 

微糖といえば、KIRIN

UCCは、BLACKへの集中投下

ブランディングの狙い 

ブラックと言えば、UCC

というようにニッチ市場の高いシェアを狙いに行っている。

ダイドーは、自販機という販路への集中という極めて戦略的なマーケティング手法をとってきたが、多角化を目指している。

POKKAは、残念ながら今のところ有効な方向に舵をきれていないように思える。

下位企業には常に身売りの噂が耐えない。
ただ、身売りを成功させるためにも、ブランド力や販路・技術等の差別的資産を形成しなくては惨めな結果を招く。

コンビニコーヒーという脅威が現実化した現在、ドラスティックな変化が期待される市場だと言えるだろう。

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